90mmマクロの分解清掃
Macro Lens
Specifications
52B(初代) 90mm F2.5
レンズ構成:6群8枚
最小絞り:32
最短撮影距離:0.39m
最大撮影倍率:1:2
フィルター径:49mm
フード:23FH
重さ:420g
最大径X全長:64.5mmx70.5mm
価格:\49,000
発売時期:1979 製造終了:1988
マクロレンズとして写りが良く有名で、
基本構造はそのままに17年作られた銘玉です。
SP(Super Performance)ですので、
最短撮影距離の0.39mから無限遠までの全域において、
等しい性能を持つレンズとして開発されました。
90mmという珍しい焦点距離ですが、この焦点距離そして開放F値は、
1975年に発売された米国 Vivitar Series 1 90mm F/2.5 macroを
ターゲットにしたものです。
このVivitarというブランドは、現在では有名なNIKEやDELLのように
自社生産は行わず他社へ生産委託している会社です。
このVivitar Series 1 90mm F/2.5 macro は、
実は日本製でTokina社製レンズのOEMです。
Tokina AT-X 90mm F/2.5 macroが本当のターゲットです。
Tokina の特許を回避して設計されており、
等倍には対応していない為、専用マクロエクステンダーで等倍が可能になります。
(Tokinaも別売のエクステンダーで等倍に対応)
後継機はヘリコイドの変更と絞り羽根が変更されたのみで、
3代目はそのままAF化となり、4代目から新設計となって等倍化され、
その後デジタル対応になりラインナップされています。
古いマニュアルフォーカス時代のタムロンは交換式マウントのため、
各カメラメーカー専用のマウントが用意されていました。(2006年生産中止)
[June
2007]
ジャンクを修理して使う事で、一粒で二度美味しいのです。(分かるかな)
ショーウィンドーで目がいくのは、「難あり品」ばかりになってきました。
横浜のカメラ屋さんで委託品として並んでいました。
このレンズはかなり評判の良いマクロレンズですので、
一度は使ってみたいと思っていたレンズです。
レンズ棚の奥に隠れるように置いてあるのを見付けました。
きっと売れ残って前列→中列→後列といったのでしょう。
マニュアルフォーカスレンズは売れない・・・ですよね。
私は買っちゃってますけど。
「カビ」ありの無保証品ですが、その割には値段が安くなっていないのが
人気の証なのでしょうか。
お店の人に頼んで見せてもらいました。
レンズを透かしてみます。
う〜ん、カビは何処?
あ〜ぁ、端にちょっとだけ「カビ」がありますが、
撮影には影響は無さそうです。
Fマウントではないのですが、この時代のレンズはアダプトール2で
どのメーカーでも使えるので購入しました。
ニコン用アダプトール2は、後ほど探す事にします。
[1]
何とも抑揚のない味気ないボディです。
当時もこのデザインに対して好き嫌いが別れました。
私の好きなアダプトマチックのAUTO TAMRONの次の世代である
アダプトールシリーズからはデザイン路線が変わり、
SPシリーズにもつながる傾向としてデザインがダイナミックでない、
凹凸のないツルンとしたものがタムロンの伝統となっています。
このデザインの傾向についてタムロンでは日本人受けは悪いが、
欧米人には人気があると言っていますが・・・
このレンズはコンパクトな見た目よりズッシリ重く、
触っただけで作り良さを予感させます。
実は初代90mm F2.5のみ、全金属ボディなのです。
これがプラボディの軽さに馴れてしまった証ですかね。
ホコリが付いているのが目立ちますが、
カビはちょっとだけなので分かりませんね。
[2]
カビというか、汚れがあるのは前玉だけです。
レンズの径が小さいのでペーパーでクリーニングするのも大変です。
とりあえず前玉を外しますが、奇しくもPENTAXと同じ49mmですので、
リングナットをPENTAX専用のリングオープナーで外します。
上の写真の中央が、外した飾りナットです。
右はペンタックス専用改め、49mm用オープナーです。
[3]
飾りナットを外すと、前玉が外れます。
中央が取り出した前玉です。
[4]
問題の部分ですが、本当にちょっとです。
画像で見ると表面の汚れようです。
レンズの汚れは中性洗剤で落とします。
コーティングしてあるので丁寧に洗ってから、
クリーニングペーパーで吸水させて、
無水エタノールで仕上げます。
[5]
レンズを組込、飾りナットを締めて完成です。
カビというか汚れもちよっとだけなので、綺麗に仕上がりました。
前玉を外してクリーニングしただけですので、
お手軽で簡単な30分コースでした。
[6]
アダプトール2を入手しました。
ニコン用は流通量も多いようです。
ニコン用アダプトール2には、カニ爪付きもあります。
左:カニ爪付き
右:カニ爪なし
カニ爪はしっかりと作られています。
後加工して爪を取り付けるのは面倒そうです。
[7]
マウントには、N/AIと記載されています。
生産中止品ですので中古での購入品ですが、
程度はスレ傷無しの美品です。
[8]
元々付いていたアダプトール2は、
キヤノンFD用でした。
キヤノンではなく、キ「ャ」ノンと書かれています。
間違ってますよ、タムロンさん・・・
[9]
ようやくカメラに装着出来ました。
さっそく触ってみたんですが、
距離環の回転方向がニコンと逆なんです。
正直馴れていないので、フォーカスが合わせづらいです・・・
[10]
出物があったので、もう1本入手しました。
同じレンズですが、微妙に違いがあります。
[11]
まずはレンズキャップです。
左:新ロット
右:旧ロット
新しいロットのものが、バネによる固定部分が1つに減っています。
これはコストダウンしています、使いやすさもダウンしてますけどね。
[12]
次に新しいロットのレンズの刻印が変わっています。
旧ロットのものは、JAPANだけです。
何の特許か調べたのですが、コダックのRFの特許にヒットしました。
これはどういう事なんでしょうかね。
[13]
レンズ購入後から探していた、等倍にするための接写リングです。
探すこと1年半、2008年12月に横浜のカメラ屋の中段の奥の隅で見付けました。
かがまないと絶対分からないような場所にあったのです。
TAMRON 18F
EXTENSION TUBE 1X For SP90mmF/2.5(52BB. 52B)
撮影倍率:1:1
撮影距離:34.7cm
露出段数:4倍
絞りを開く量(段):2段
Length:66.5mm
Diameter:φ48.5mm
Weight:153g
御覧の通り程度は新品同様の極上品です。
購入の決め手は純正のフロントキャップ、リアキャップが付属していたこと。
製造番号はなんと400番台です。
右:SP 90mm F:2.5 + EXTENSION TUBE
左:SP 90mm F:2.5
EXTENSION TUBEのデザインが鏡胴のデザインと合っていません。
まるで他社の接写リングを付けているようで残念です。
90mm F:2.5をカメラに付けた状態です。
90mm F:2.5 + EXTENSION TUBEをカメラに付けて、
等倍状態にしてみると、こんなに長くなります。
90mm F:2.5 + EXTENSION TUBEでの等倍撮影時は、
これぐらいまで寄って撮ることになります。
Tamron SP 90mm 1:2.5 Macro 1/125 F:8
EXTENSION TUBEなし
Tamron SP 90mm 1:2.5 + EXTENSION TUBE 1/80 F:8
EXTENSION TUBEあり
[14]
まだフードは入手出来ていません。
フィルター径は49mmですので、旭光学のフードが代用出来ます。
旭光学の135mm F:3.5 150mm F:4用の金属製フード取り付けた状態ですが、
このフードですとケラれる事なく使えます。
残念ながら鏡胴の方が太いので、フードの反転収納は出来ません。
[Lens Test]
試写してみました。
昼間は晴れていたのですが、夕方になり曇ってしまいました。
D200でMicro-NIKKOR 55mmと一緒に撮影をしました。
Tamron SP 90mm 1:2.5 Macro 1/80 F:2.5
Micro-NIKKOR 55mm 1:2.8 1/100 F:2.8
Tamron SP 90mm 1:2.5 Macro 1/250 F:2.5
Micro-NIKKOR 55mm 1:2.8 1/160 F:2.8
同じような焦点距離のマクロを持っていませんので、
マクロレンズの写真という事で・・・
Tamron SP 90mm 1:2.5 Macro 1/250 F:2.5
中望遠レンズなので、ポートレートでもと思いましたが、
ちゃむちゃんがモデルになってくれました。
F's
Comment
同じレンズなのに予備にもう1本も買いたくなるようなレンズです。
2本あると1本にエクステンダーをつけたままにしておけるので、
ちょっと便利かもしれません。
独特な綺麗なボケは被写体を際だたせてくれますので、
マクロからポートレートまで幅広く使えます。
当方は一切修理は請け負っておりません。
ジャンク品は健康に良くありません。 良品を買いましょう〜
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