[2009.2.7]

revised [2010.12.14]

Nikon FM

 

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 FMの分解清掃 巻き上げ修理
Nikon FM

小型軽量SLRとしてセンセーショナルに登場したOLYMPUS M-1が
発売された翌1974年に同じ小型軽量コンセプトで設計をスタート。

「FM」はMechanicl式シャッター Manual露出
1977年5月に発売された日本光学初の小型軽量SLRです。

Nikon FM 仕様
型式:メカニカル式 35mm一眼レフ フォーカルプレーンシャッターカメラ
露出制御:マニュアル
ファインダースクリーン:スプリットマイクロ式(K型)
測光:TTL中央部重点開放測光
測光素子:GPD(ガリウムヒ素リンフォトダイオード)
シャッター:上下走行式メタルフォーカルプレーンシャッター コパルスクエアCCS
シャッター速度:B・1〜1/1,000 秒
シンクロ:X 接点のみ、スピードライトに 1/125 秒以下で同調
寸法・質量(約) 142×89.5×60.5 mm ; 590 g(ボディのみ)
発売当時の価格 57,000円 (ブラック61.000円)


Prologue
2009年最初に購入したカメラはNikon FMです。
1月中旬に銀座ニコンハウスで購入しました。

ニコンハウスのカウンター上に無造作に並んでいたのは、
FフォトミックT、FフォトミックFtn、F3とこのFMです。
いずれも難ありの現状品で銀座には肩身の狭いモノばかりです。

あまりの安さに壊れた電子式のFEだと思って手にとってみます、
シャッターを切ると、カシャ!
ほーっ 生きてる!
あれ?メーターがない・・・じゃなくてLEDだ!
という事はFMですか(機械式→テンション↑)

シャッターをスローから1/1000まで動かして動作を確認すると問題なさそうですし、
MAKINON 28-80mm/3.5を取り付けて露出計をチェックすると露出計も問題なしです。


軍艦部には汚れ蓄積し人工皮も汚れていますが、目立つような傷はないようです。


使い込まれスレが出た裏蓋ですが、アタリがないのでこのカメラは丁寧に
扱われていたと思われます。

圧板とフィルムガイドレールを確認すると、裏蓋のスレから想像されるような摩耗もなく、
まだまだ現役という感じです。


ミラーボックス内はホコリだらけ・・・

製造番号は325万台で、コストダウンと改良が計られた後期型で、
Nikonの機械式カメラが安いとなればお持ち帰りしない訳にはいきません。

綺麗なMAKINON 28-80mm/3.5 + 銀枠のMINOLTA UVフィルター付も
FMのお伴に連れて帰ることにしました。

Cleaning

クリーニングしたら錆びもなく、質の良いクロームメッキが輝きだしました。


すっかり往年の輝きを取り戻したFMです。
これなら位になれば、ニコンハウスのショーウィンドゥに並べてくれそうです。


ペンタ部や巻上げレバーの人工皮も、うす汚れた状態からツヤのある黒い
状態に戻りました。


裏蓋がスレている事か良く分かると思います。
塗装すればきれいにはなりますが、良い味が出ているのでこのままかなぁ。


底板がこんなに綺麗なのは、モータードライブを付けていたからだと思います。

Repair
綺麗になったFMでシャッターを切っていてある事に気が付きました。
シャッターチャージしたまま何度も巻き上げ出来てしまうという、
FMやFEによくあるらしい症状でそれが原因で安かったと分かりました。

私はシャッターを押してすぐに巻き上げるクセがあるので、
ニコンハウスでは不具合に気付きませんでした。

私が使う分には別に困るほどの事ではなさそうですが、
可愛がった分だけ綺麗になると愛着も湧いてきます。

このFMはうれしいことにメカニカルな部分の調子も良いので、
単純な巻き上げロック機構の動作不良だと推測できるので、
ホームページのネタとして直す事にしました。


底蓋を外してロック機構の動きをチェックします。
赤丸にあるロックレバーがシャッターの巻き上げ軸をロックする機構ですが、
動きがスムーズでなくロック出来ません。


ロックレバーに関係する可動部分を分解してアルコールで清掃と脱脂を行います。
脱脂をするのは劣化油脂類が動作不良の原因である事も多いためです。


パーツが銅の板金モノなので湿式(油脂)では粘性による固着が心配なので、
乾式(カーボン)を塗布して潤滑させます。


組み上げると全てのパーツが与えられた仕事をこなしていき、
巻き上げるとロックレバーシャッターの巻き上げ軸をロックします。
これで作業完了!

巻き上げかせ直ったところで撮影と言いたいところですが、
ファインダーをのぞくと細かいゴミがいっぱいです。

レフボックス内のミラークッション用のモルトプレーンが劣化して、
それがスクリーンとペンタプリズム間に入り込んでいます。
次はペンタプリズムのクリーニングです。


スクリーン枠を固定しているプレートを外します。


もうモルトプレーンはボロボロで粉々になっていきます。


モルトプレーンを貼り替えます。


スクリーン固定枠にあるミラークッション用のモルトプレーンも劣化してボロボロです。


左から、スクリーン固定枠、バネ、スクリーンです。


汚れているペンタプリズムをクリーニングします。

ファインダー内のシャッタースピードの表示がズレていましたので修正します。
ペンタプリズム底部に見えている円盤がシャッタースピード表示盤です。
シャッターダイヤルとは糸でつながっていますので、滑るとズレが生じるのです。


ファインダー内シャッタースピード表示位置調整とペンタプリズムとスクリーン間の
クリーニングが完了しました。
ファインダー像がきれいになると気分が良いものです。


最後の仕上げに裏蓋のモルトプレーンを交換して、全ての作業が完了です。

F's Impression

小型軽量カメラとして登場したFMは、それまでの中級機に比べると
確かにコンパクトになっている事が分かります。


OLYMPUS OM-1(右)と比べると、FMの方が大きい事が分かります。


FMで気に入ったのはEL2に迫るスムーズな巻き上げフィーリングです。
EL2は若干トルクが必要ですが、巻上げ音も静かでウルトラスムーズ、
FMはとても軽い巻上げですが、音がEL2より少し大きいのが惜しいところ。


FM+MD-12
FMからの中級機もワインダーではなくモータードライブになりました。

Nikon FE

2009年4月に程度の良いNikonFEを入手しました。

1978年発売のFEはNikon EL2の後継機種です。

Nikon FE 仕様
型式:メカニカル式 35mm一眼レフ フォーカルプレーンシャッターカメラ
露出制御:オート 絞り優先式、マニュアル 追針式
ファインダースクリーン:スプリットマイクロ式(K型)
測光:TTL中央部重点開放測光
測光素子:SPD(シリコンフォトダイオード)
シャッター:電子制御式上下走行式メタルフォーカルプレーンシャッター コパルスクエアCCS-E
シャッター速度:B・1〜1/1,000 秒 B M90はメカニカルシャッター
シンクロ:X 接点のみ、スピードライトに 1/125 秒以下で同調
寸法・質量(約) 142×89.5×57.5 mm ; 590 g(ボディのみ)
発売当時の価格 69,000円 (ブラック73.000円)


Electronic式シャッターで自動露出付きです。



FEはFMと部品を40%共通化しており、デザインもかなり似ていますが、
正面からはペンタ部のデザインの違いで見分けられます。


FEはFMのモデル名は軍艦部背面に小さく出ています。

F's Comment

MD-12は単3電池が8本必要で、その分軽くはありませんが、
サイズはFMに合わせてあるのでスマートに仕上がっています。

MD-12を付けたFMを持つと、カメラらしい濃密な機械感が伝わってきます。

FMは日本光学の新世代小型軽量カメラとして生まれ人気機種となりました。
外観は似ているFM2は、中身は全くの別物となりカメラの基本を学ぶ写真学校の
生徒がFM2を持っているのをよく見かけました。

ニコンをメインしていた報道カメラマンにFM2やFE2はサブカメラとして愛用され、
カメラブーム時の人気機種となり生産中止後の一時期は中古価格が高騰しました。

最後のFMとなったFM3Aはデジタル時代になってから発売され、
ニコンの姿勢は驚きと賞賛をもって迎えられました。

永く愛されたFMシリーズの原点がこのカメラにあります。

当方は一切修理は請け負っておりません。

ジャンク品は健康に良くありません。
良品を買いましょう〜



 

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