[2010.4.21] 

revised [*.*.*]

Ai Zoom-Nikkor 80-200mm F4S

 

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  レンズの分解清掃


Ai Zoom-NIKKOR 80-200mm 1:4

画角  30度10分〜12度20分
最小絞り  32
最短撮影距離目盛り 1.2m
フィルター径 62mm (P=0.75)
大きさ(全長×最大径) 154×73mm
重量 810g
発売当時の価格 105,000円


Prologue
Zoom-Nikkor 80-200mm 1:4.5が思い入れあるレンズだということは以前
取り上げた際に書きましたが、このレンズが出た時には開放F値が0.5明るく
なっただけだと気にもしていませんでした。

私がNikon F2Aを購入した頃のNikkorレンズは広角(20mm)から望遠(200mm)まで、
フィルター径が52mmに統一されていました。
Ai-sが登場した頃からは52mmへの統一の姿勢は失われていきました。

ズーム距離環の径は73mmとZoom-Nikkor 80-200mm 1:4.5と同じながら、
フィルター径52mmから62mmへと10mm大口径化されていますので、
前から見ると鏡胴いっぱいに広がる前玉が存在感をアピールしています。

全長は8mm短くなっていますが、重量は60g増え価格も4000円アップしています。


80-200mmズームの比較を行いたいと以前から考えており入手したものです。
入手機会というものはある時にはあるもので、今では2本揃っています。
最初に手に入れたのは右側の前期型で、次は後期型の左側です。


画像では分かりづらいかもしれませんが前期型は青緑色のコーティングで
後期型は紫色のコーティングに変更になっています。

発売当時で10万円を越えていますが、人気があった80-200mm 1:4.5に比べて
中古カメラ屋さんで見掛ける機会が少ないレンズです。

私と同じようにZoom-Nikkor 80-200mm 1:4.5を持っている人が買い換える程の魅力は
なかったのではないかと思います。

80-200mm 1:4.5の不満といえば開放F値であり、開放F値を2.8としEDレンズを用いた
ものは40万円越えと完全にプロ仕様であり、欲しくても手が出ませんでした。

開放F値が2.8で、EDレンズを用いたレンズを入手したのはNikon F4のAF時代になって
からの事でした。

前期型の方は光学系に問題なしですが、入手後のチェックでマウントに変形が
ある事が判明しました。修正はしたものの絞り環が非常に固くなっています。
後期型は光学系に多めのホコリがあるのと、鏡胴にキズがあるいわゆる実用品で、
マウントに変形はありませんが、絞り環は重めです。

作業的にはZoom-Nikkor 80-200mm 1:4.5と内部構造を比較したかったので、
分解レベルはほぼ同じとなっています。

Cleaning

外観は前期型が使用に伴うスレが多くあり、後期型は擦れたようなキズがあります。
両者とも撮影に影響するような光学系の問題はありませんが、
内部にホコリが多いので精神衛生の観点から分解して清掃します。


マウントをはずしてみます。
Zoom-Nikkor 80-200mm 1:4.5と構造が異なり新設計である事が分かります。


連動レバーのネジを外して絞り環を外します。


良く見れば絞り環も汚れています。


後群をユニットごと外します。


後群ユニットはマウント、絞り環を付けた状態でも外せる構造になっています。
製造時の組立工程の効率化を図っていることが分かります。


鏡筒には絞り目盛の色と合わせた深度目盛表示がされています。



大口径化されたので銘板はありませんが、それ以外の前郡の構造は
Zoom-Nikkor 80-200mm 1:4.5とほぼ同じです。


続いて中群を外します。


すべてのユニットをクリーニングしてから組上げます。


汚れもとれスッキリとしました。


Lens Test

左:Zoom-Nikkor 80-200mm 1:4.5 [後期型]
右:Zoom-Nikkor 80-200mm 1:4 [後期型]

赤枠部分を原画から切り出しています。


Nikon D200

画角:80mm


Zoom-Nikkor 80-200mm 1:4.5 [後期型]  f:4.5
左上に甘さがありますが、右下はしっかりした描写で、中央も良い描写をしています。

画角:80mm


Zoom-Nikkor 80-200mm 1:4 [後期型] f:4
周辺がなんとなく甘い感じがしなくもありませんが、中央から周辺まで良い感じです。

画角:80mm

Zoom-Nikkor 80-200mm 1:4.5 [後期型]  f:8
開放とほとんど変わらない画質です。

画角:80mm

Zoom-Nikkor 80-200mm 1:4 [後期型]  f:8
周辺の甘さが消え全体にしっかりとした画質になりました。

画角:80mm

Zoom-Nikkor 80-200mm 1:4.5 [後期型] f:11
全体的によりしまった画質になります。

画角:80mm

Zoom-Nikkor 80-200mm 1:4 [後期型]f:11
f:8とほぼ同等です。

画角:80mm

Zoom-Nikkor 80-200mm 1:4.5 f:11
f:8とほぼ同等です。

画角:200mm

Zoom-Nikkor 80-200mm 1:4.5 [後期型] f:4.5
200mmも開放から周辺までしっかりしています。

画角:200mm

Zoom-Nikkor 80-200mm 1:4 [後期型] f:4
80mmと同じように1:4.5に比べてしまうと若干画質は甘い感じがします。
周辺の光量落ちが顕著に出ています。

画角:200mm

Zoom-Nikkor 80-200mm 1:4.5 [後期型] f:8
開放から大きな変化はありません。

画角:200mm

Zoom-Nikkor 80-200mm 1:4 [後期型] f:8
1:4.5に比べ甘さが改善され、周辺の光量落ちも解消します。

画角:200mm

Zoom-Nikkor 80-200mm 1:4.5 [後期型] f:11
f:8から大きな変化はありませんが回折現象で少し甘くなっています。。


Zoom-Nikkor 80-200mm 1:4 [後期型] f:11
f8よりシャープになり、とても良い画像になります。

テストの結果から、Zoom-Nikkor 80-200mm 1:4.5は開放から良く写るレンズで、
Zoom-Nikkor 80-200mm 1:4は絞りに応じて写りが変化する事が分かりました。
80mmの歪曲収差はどちらも樽型でした。


Zoom-Nikkor 80-200mm 1:4.5
画角80mm f:4.5


Zoom-Nikkor 80-200mm 1:4
画角80mm f:4

テストした結果新旧レンズに優劣があったとは言えません。



Hood

Zoom-Nikkor 80-200mm 1:4用ねじ込み式レンズフード HN-23
現行品とは違い光沢のある旧タイプフードです。



F's comment
Nikkor 80-200mmを比べてみた結果、梅の枝の力強さと立体感がある画を見て、
設計が古いZoom-Nikkor 80-200mm 1:4.5の実力を再認識しました。


肝心の
Zoom-Nikkor 80-200mm 1:4の描写も開放から良く、
200mm時の周辺光量落ちが気になるだけでした。

さて、どちらが良いかという結論は難しいところです。
両者優劣つけがたいので「引き分け」です。



当方は一切修理は請け負っておりません。

ジャンク品は健康に良くありません。
良品を買いましょう〜
 

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