[2009.1.31] 

revised [*.*.*]

Zoom-Nikkor 80-200mm F:4.5

 

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  レンズの分解清掃

Jan 2009


Ai Zoom-NIKKOR 80-200mm 1:4.5 (後期型)

画角  30度10分〜12度20分
最小絞り  32
最短撮影距離目盛り 1.8m
フィルター径 52mm (P=0.75)
大きさ(全長×最大径) 162×73mm
重量 750g
発売当時の価格 101,000円

常用の望遠レンズとして、80〜200mmと広範囲をカバーできる。
たいへん小型のうえピントとズーミング一方式と、機動性に富み、
全焦点距離にわたり優れた描写性を持ち、スポーツ、風景等の
撮影に性能をフルに発揮する。

Prologue
Nikon F2Aを購入した1979年には望遠ズームとして定番レンズで、
私もその頃に新品で購入しました。

発売当時で10万円を越えていますが、人気があったようで中古カメラ屋さんで
目にする機会がよくあります。

私のカメラやレンズは防湿庫で保管しているので良い状態を保っていますが、
普通の家の古いカメラやレンズは長い間使われない間にカビに侵略され、
中古カメラ屋さんではそのまま売られている事も多くなりました。

人気があるものは修理代をかけても儲かりますので直して売りますが、
そうでないものはジャンク・難あり・現状品として売り切られていきます。

2009年1月に都内の中古カメラ屋さんでジャンク品を購入しました。
カビありですが、鏡胴の程度も良いので修理してみる気になりました。

既に所有しているのになぜ買うの?と思われる事でしょう。
50mm/1.4とこのレンズの2本を長い間使っていましたので、
それなりの思い入れがあるレンズなのです。

ニコンのレンズは価格相応にしっかりした作りですので、
泣き所のズーム・フォーカスリングもきっちり直す事にしました。


Repair

入手したジャンクレンズは、Ai Zoom-NIKKOR 80-200mm/4.5の後期型です。
外観は若干の引っ掻き傷はありますが、地金が出るような深いものはありません。
アタリもスレもないので仕上がるのが楽しみです。


外観の程度は良くても、レンズを覗けば、こんなにカビが繁殖しています。
これが原因でジャンクとなった訳です。


リングナットになっている銘板を外す前にセットスクリューを先に外します。
手抜きした為にネジをナメてしまい、ドリルでネジを抜きました。


銘板を外すとレンズか顔を出します。


前群を外します。


前群にカビがありますので分解します。


カビは上の画像の通り、かなり繁殖しています。



カビをクリーニングすると綺麗なレンズになりました。


まだまだ奥のレンズにもカビがありますので中群を外します。


中群にもカビが発生しています。


ここもしっかりカビを取り除きます。


中群の奥のレンズも取り外します。(右)


やっぱり真ん中に大きなカビがあります。
丁寧にカビを取り除きます。
ここまでカビとりしても、まだカビが・・・


マウントを外して後群を外す準備をします。


ユニット化された後群を取り外します。


カビを取り除くために後群ユニットをさらに分解します。


前群、中群、後群の全てにカビがありましたので、
全てのレンズをクリーニングしてしまいました。


続いてスカスカのズーム・フォーカスリングを直します。
ズーム・フォーカスリングのセットスクリューを抜き、
実は巨大なリングナットとなっているズーム・フォーカスリングを回し、
鏡胴から外します。


ズーム・フォーカスリングの内側前部にクリアランス調整用の植毛紙が貼られています。
御覧の通り植毛はなくなりベースの紙だけになってしまっており、
これがスカスカになっている理由です。


オリジナルと同じ幅4mmの植毛紙を用意して、元の植毛紙の上に貼り付けます。


銘板を固定するセットスクリューはナメてしまいドリリングして抜いてしまったので、
その代わりにM1.7のネジで固定しました。


凄いでしょう!
このレンズを持っている人なら感動してくれると思います。
レンズを立てても、
ズーム・フォーカスリングは下がってきません。
一晩立てておいたら真ん中くらいまで下がっていましたけど。


直進ズームの特長である被写界深度目盛りです。
絞り表示の色がそのまま線の色になっています。


やはりF2A+MD-2に取り付けるとしっくりきます。


専用の金属フードHN-7です。
私は収納が楽なゴムフードを付けて使っていたので、
ねじ込み式の金属フードHN-7は持っていませんでした。


大人になって探したのですが、なかなか見付かりませんでした。
それを知ったNOBU氏が予備で持っていたフードをくれました。
恐れ多くも未使用新品でございます。


HN-7を取り付けた80-200mm/4.5の姿は良いですね。


Lens Test
D200を手持ちで絞り開放にて撮影 

80mm   [D200+Ai 80-200mm/4.5   1/1250   F:4.5]


105mm   [D200+Ai 80-200mm/4.5   1/1250   F:4.5]


135mm   [D200+Ai 80-200mm/4.5   1/1250   F:4.5]


200mm   [D200+Ai 80-200mm/4.5   1/1250   F:4.5]

D200に修理したレンズを取付て近所の公園に出掛けました。
昨日から強風が続き、梅の花も風にあおられていました。

80-200mm/4.5だけで撮りましたが、とても気持ちよく撮影が出来ました。
その理由を考えてみると、ズーム・フォーカスリングを直したので、
見上げるような撮影でもズーム・フォーカスリングが動かずに安定して、
撮影に集中出来たからだと気付きました。

スカスカの
ズーム・フォーカスリングですと、見上げた状態での撮影では、
動きやすいズームを保持しながらピントを合わせなくてはいけないのですが、
修理後はズームは動かないのでピントを合わせに集中できるのです。

F's comment
50mm/1.4と80-200mm/4.5の2本を長い間使っていた事を冒頭に書きましたが、
このレンズを使わなくなったのは、初代のAiAF 80-200mm/2.8を使い始めたからです。

屋外での望遠撮影であれば開放F値4.5でも良かったのですが、
フィルム時代の屋内の撮影ではかなり厳しく、明るいレンズが必要だったのです。
明るくなった初代のAiAF 80-200mm/2.8は直進ズームですので、
なんの違和感もなく移行して常用の望遠ズームとなりました。

80-200mm/4.5は80mm側の描写には定評がありますし、
ここまで読めば、このレンズに興味が湧いてくるかと思います。

持っていない人は、この機会にぜひ1本どうぞ〜
今なら格安で入手可能です!

入手したものが良品でも
ズーム・フォーカスリングは直しましょう。
きっとこのレンズの印象がぐっと良くなると思います。

樹脂製の軽いレンズに馴れているなら、重厚な金属レンズの感触に驚くでしょう。
デジタルカメラならF4.5でも全く問題ありません。
もし室内なら感度を上げて使ってみましょう!

ちなみに往年の報道カメラマン仕様では、
 80-200mm/4.5 750g
 F2A 850g
 MD-2+MB-1 750g
 単3電池×10 240g
 合計 2590g
軽くはありませんが、MD-2のグリップのお陰でバランスは良いです。

今回のレンズテストにはD200+MB-200と組み合わせて行いましたが、
バランスは良くて総重量は1990gとF2A+MD-2より20%軽くなっています。

このレンズには、ある程度大きいカメラが似合うようです。

当方は一切修理は請け負っておりません。

ジャンク品は健康に良くありません。
良品を買いましょう〜

 

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