[2007.6.7]

Nikkor 135mm F:2.8S

 

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  レンズの分解清掃

Telephoto Lens


Ai-Nikkor 135mm F2.8S
当時の価格41,000円
画角  18度
最小絞り  32
最短撮影距離目盛り 1.3m
フィルター径 52mm (P=0.75)
大きさ(全長×最大径) 83.5×64mm
重量 435g

発売当時に135mmは、F2.0、F2.8、F3.5の3種類。
F2.0は96,000円と倍以上の価格で、別格の扱いなので、
F2.8が135mmでは一般的なレンズとなっていました。


以前から所有している135mmは、
Nikkor-Q AUTO 135mmです。
非AiなのでF専用になっています。

シルバー鏡胴の135mmF3.5に純正フードを付けた格好が好きです。
ヘリコイドと絞りリングのグリースは交換済み。

[June 2007]
最近はジャンク品の修理を楽しんでいます。
ショーウィンド−で自然と目がいくのは難あり品になってきました。

このレンズは横浜のカメラ屋さんで委託品として並んでいました。

使用頻度はかなり少ないとは思いますが、
所有している135mmは非Aiレンズのみですので、
Aiレンズも在っても良いかと思い値段に釣られて購入しました。

プライスがダウンの理由は「カビ」です。
お店の人に頼んでカウンターで見せてもらいました。

全面にホコリのような細かい「カビ」が点在しています。
白くて向こうが見えないようなカビとは程遠いレベルです。

そんな訳で、すぐに「これ下さい」と言いながら、
前玉外してと考えを巡らしていました。(笑)


[1]
家に持ち帰ってお楽しみの詳細チェックです。
外観は傷もなく、まさに美品です。

まず前玉をHCLのクリーニングペーパー+無水エタノールで、
クリーニングしていきます。

すると、何という事でしょう!
カビだと思っていたものは、ホコリだったです。
あっという間にクリアーなレンズになりました。

ホコリを「カビ」と表記するなんて信じられません。

上の写真は、内蔵フードを引き出した状態です。

[2]
ホコリで汚れているだけで安いとは〜
思わぬ収穫に笑いが溢れてきます。

綺麗なったレンズを満足しながら触っていました。
絞りがF32まであるのかと思い絞ってみると、
絞りが全く動きません・・・

そういえば購入時に、カビのチェックはしましたが、
絞りもヘリコイドもチェックしていませんでした。

そういう事ですか〜
と妙に納得しつつも、少しワクワクしてきました。
問題は「カビ」じゃなくて「絞り不良」だったのです。

資料で光学系を調べてみると後郡は1枚構成で、
その前に絞り機構があるようです。


[3]
絞りに近いマウント側からアプローチしていきます。

マウント側から植毛処理がされた鏡内筒を外す為に、
まず赤い矢印の部分にある3箇所のネジを外します。

[4]
鏡内筒を外すと絞り機構とレバーが姿を表します。
赤丸の部分が絞りのレバーです。
カメラとの連動レバーが矢印の方向に動いて自動絞りになります。

絞りが粘っているので絞りレバーと連動レバーが離れています。

重くなっているレバーを動かすと、粘る絞りがどうにか動きました。
やっぱり油染みが出ています。


[5]
前から見ると、絞りに油染みもなく綺麗です。

これはとてもラッキーです。
その理由は、絞りの背面だけであれば50mm F1.4の時のように、
絞りを完全に分解しなくても直せるからです。


[6]
レンズの構成から、後ろ玉は1枚である事が分かっていますので、
そのレンズを外せば、絞りに辿り着けるという予定です。

後ろ玉をブロックごと取り外します。

[7]
絞りに直接アクセス出来る状態になりました。


[8]
F32まで絞ってから羽根を無水エタノールで脱脂します。

綿棒に無水エタノールをひたして、
油染みが無くなるまで何回も綿棒を交換し、
脱脂クリーニングを行います。

絞りを動かしても、絞り羽根に油が染み出なくなるまで
脱脂クリーニングを続けます。

[9]
脱脂クリーニングが完了した絞り羽根です。

スムーズに絞りが動く事を確認します。
絞りレバーと連動レバーの動きも大丈夫です。

[10]
再び組立てるとあっさり完成です。

リアレンズキャップが見えてますね。
レンズもクリアーになって、絞りも快調に動きます。

絞りの粘りの修理も、絞り機構の分解がなかったので、
後ろ玉を外しただけの作業で済みました。

楽しめた時間は、資料の調査も含めて1.5時間でした。

[Extra]
外見が似ているレンズがあります。

左が似ているNikkor 200mm F4.0です。
レンズフードを内蔵している事と、レンズ径が52mmなのが共通点です。
そのために、200mmは開放がF4.0と暗くなっています。


前群と後群の間隔と内蔵フードが、135mmよりずーと長くなっています。


当方は一切修理は請け負っておりません。

ジャンク品は健康に良くありません。
良品を買いましょう〜

 

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