レンズの分解清掃
Zoom Lens
Tokina AT-X 35-200mm
F3.5-4.5
形式 AT-X352
当時の価格 万円
レンズ構成 13群16枚
最小絞り 22
最短撮影距離目盛り 1.6m
マクロ 1:4
フィルター径 67mm
大きさ(全長×最大径) 123×70mm
重量 690g
発売 1982
[Prologue]
Tokinaの5.7倍もある高倍率MFズームレンズです。
35-200mmという高倍率ズームは後にNikkorからも発売されました。
Tokina AT-Xシリーズは高性能レンズの証でした。
現在は全てのレンズがAT-X銘が付いていますが。
入手したAT-X352はお約束の難あり品で、
値札が3枚も重なっていました。
売れ残って値下げに次ぐ値下げを繰り返し、
それゆえお買い得価格?になっていましたが、
売れ残るのにふさわしい程度の悪さがありました。
外観はスレありの実用品ですが、ワンタッチズームと呼ばれる
直進ズームや距離環の感触は滑らかです。
問題点はカビです。
パッと見ただけで前群と後群に目立つカビがあり、
透かして見ると霞がかかったような状態なので、
重修理は間違いなしなのがすぐに分かります。
これでは売れないなのも納得です。
通常なら部品取りのジャンク箱行きでしょうが、
AT-Xなので残されていたようです。
ところがレストアが趣味の私には格好の素材です。
素材の素性は良いので料理次第で旨くなりそうです。
[1]
前から見るとカビだらけです。
状態の悪が伝わってくると思います。
[2]
後ろから見たところですが、結構派手にカビが繁殖しています。
こんな状態じゃ売れないのも納得です。
[3]
まず前群から分解します。
前玉の銘板リングがナットになっている思っていたのですが、
全く動く気配がありません。
もしやと思いよく見ると、セットスクリューを発見!
[4]
セットスクリューを緩め、前玉を固定しているリングナットを取り外します。
外した銘板リングナットです。
[5]
前群のレンズを取り外します。(中央)
[6]
前群を分解して内側にあるカビを落とします。
[7]
中群の前側を取り外します。(中央下)
[8]
ここには表裏ともカビはありませんでしたが、
丁寧にクリーニングを施します。
[9]
後群を取り外します。
後群の前側にカビがありますのでカビを取り除きます。
[10]
後群を取り外します。
後群の内側にカビがありました。
[11]
後群を分解します。
まずは後群の後側を分解して内側のカビを取り除きます。
[12]
後群の前側も分解して内側のカビを取り除きます。
[13]
組み上げて試写したところ、何となく白っぽい感じでした。
カビは取り除いて綺麗にしているので、
唯一手を付けていない中群の後側に問題があるようです。
再び分解して中群の後側のクリーニングを行います。
[14]
見た感じでは問題なさそうなのですが、
他のレンズは全てクリーニング済みですので、
分解してクリーニングを行います。
[15]
鏡胴と全てのレンズです。
右から前群〜中群〜後群
[15]
新宿の中古カメラ屋で運良く見付けた純正フードです。
ニコンのHKフードと同じ構造と作りです。
F's Comment
最終的に全てのレンズをクリーニングしましたので、
とても手間を掛かったレンズとなりました。
最初の分解修理に2時間、再修理にも2時間かけました。
AT-Xだからかも知れませんが、丁寧に作られたレンズですので
分解も楽しみながら、無理する事もなくこなす事が出来ました。
最短撮影距離が1.6mと寄れないレンズですが、
マクロがありますので実際にはそれほど不便はありません。
Nikkor 35-135mmと比較しても一回り大きく、
フードが付くと堂々とした風格が漂ってきます。
当方は一切修理は請け負っておりません。
ジャンク品は健康に良くありません。
良品を買いましょう〜
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