[2010.03.07]
revised and enlarged [2010.03.21]

TAMRON SP 60-300mm 3.8-5.4

 

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  レンズの分解清掃(クリーニング)
 
Lens Repair [Cleaning]

Specifications


TAMRON SP 60-300mm F3.8-5.4
明るさ:F/3.8-5.4
レンズ構成:11群15枚
絞り羽根枚数:8枚
最短撮影距離:1.9m (Macro:0.34m)
全長:166mm
最大径:68mm
フィルター径:62mm
質量:926g
価格 :\69,000円

標準から望遠までをカバーする5倍ズームレンズ
高性能を意味するSP(Super Performance)モデル


Prologue
TAMRON SP 60-300mmは準標準から望遠まで幅広い領域カバーする

MF全盛期からAF時代まで販売された高倍率ズームレンズです。

家族を撮る事を主目的とする場合には、広角から中望遠をカバーするレンズで充分で、
望遠レンズは運動会などのスポーツ撮影の時しか活躍せず使用頻度が低いのは
いつの時代も同じです。

現行品でNikon F2Aと50mm/1.4をセットで買ってもらった中学生の私達の世代は、
望遠ズーム(Zoom-Nikkor 80-200mm/4.5)を持つことが憧れでした。

標準レンズの次は望遠レンズというのが王道でした。 
当時のレンズは現在の海外生産の樹脂鏡胴レンズに比べ2〜10倍以上高価で、
カメラメーカー純正レンズに比べて安いレンズメーカー製であっても、
現在のレンズに比べれば遙か高価でコストが掛かった作りとなっています。

国内製造樹脂鏡胴レンズの時代になった1980年代中頃から、コストダウンした
レンズが多く製造されるようになり、AFの時代に入るとダブルズームと称して
安価な標準ズームと望遠ズームセットが各社から発売されました。

TAMRON SP 60-300mmは、その名の通りSPシリーズで短焦点側の開放F値が3.8と
なっています。

※開放F値3.8というのはJISの5%誤差を逆手にとったもので3.8+5%=3.99となります。
 これは伝説のCanonの50mmの開放F値0.95が実はJISの5%誤差を合法的に悪用し
 0.99しかないので、1.0すべきなのに0.95と表記しているのと同じです。
 他よりちょっとだけ良いスペックは要注意です。

TAMRON SP 60-300mmはいつかは使いたいレンズで時々チェックしていました。
何と言ってもスリムで長いゴムローレットは独特で目立ちますので、
見付けるたびに手に取るのですが、どういう訳かカビあり品ばかりなのです。

それが売れ残る訳でもなく、そこそこ回転する商品なので程度や年式の割りには
いつも強気の値段設定となっているのでパスしていました。


このレンズは見ての通りのかなり悪い状態です。
「カビあり品」ではなく「カビだらけ品」が正解。

純正レンズキャップ付きでアダプトールマウントは無し 価格は1500円
程度の悪さを考えれば500円が妥当な価格だと思いましたが・・・
ついつい入手してしまいました。

Cleaning 1

まず手始めに前面のリングナットを外します。
MFレンズの作りは良いので分解しても楽しいものです。


前玉のカビはたいしたことはありません。


前群背面のレンズには大きなカビがあります。


続いて中群の前側にもカビがありました。


カビがあったレンズです。
全てにカビがあったという事になりそうですが。


かなりのクモリが出ていたのがこのレンズです。


クリーニングした中群を組み込むとコーティングで綺麗に見えています。


クリーニング後の前群です。


前群を組み込んでもまだまだ見通しは良好です。


クリーニング後の前玉です。


11群15枚のレンズのコーティングがきれいにライトを反射しています。

Episode 2
レンズテストも終わり、カメラ屋さんで何気なく手にしたのが、この2本目レンズです。

レンズの状態は1本目と違って「カビあり品」です。

前後キャップ無し、アダプトールマウント無し 価格は300円
もう要らないとは思いましたが、300円なら良いかと思い入手しました。

Cleaning 2
前群から中群までの分解はCleaning 1と同じです。
このレンズは後群にもカビがあるのです。

鏡銅が長いのでロングビットを使って分解する必要があり、
久しぶりにビットを作ってから作業を開始しました。


レンズサッカーで奥から取り出します。


全面カビだらけです。


クリーニング後です。
まだ内部にカビがありました。


左側にある白いものがカビです。


クリーニング後です。
カビが侵攻していないので簡単にきれいになりました。


最後に薄い曇りをクリーニングします。


すべてのレンズを組みなおしたら、見通しは良好になりました。

Lens Hood

後から入手した専用レンズフード48FHです。
あまりに傷が多かったので、研磨してからパフ掛けしてあります。
ニコン旧タイプの金属フードをイメージしています。


フードとレンズの取付はバヨネット方式です。
固定用に板バネが入っているという手の込んだ作りになっています。


左がオリジナルのフード、右はパフ研磨したフードです。

Lens TEST


60mm 開放


100mm 開放


135mm 開放


200mm 開放


300mm 開放


200mm 開放


200mm f:5.6


200mm f:11


原画切り出し 等倍ピクセル

見頃の白梅でテスト撮影をしてみました。
開放のボケ味も素直で、絞れば原画切り出しの通り解像度も高く、
SPシリーズらしいレンズだと思います。


MACRO 開放
\300レンズで撮影してみました。


F's Impression

フードを付けたレンズは存在感にあふれています。
上の画像は最長時のものです。


ロットによって焦点距離表示のカラーリングが変わっています。
といっても60mmと300mmのカラーが入れ換わっているだけですけど。


長いゴムローレットから長く感じますが、TAMRON 75-250mm F/3.8-4.5[Model 04A]
に比べると短いのです。

左のTAMRON SP 60-300mmは防湿庫の棚に立てて入れられますが、
右の75-250mmは無理なので横にしています。
(両方ともニコンマウント付きです。)

過密状態の防湿庫なので出来れば横になって欲しくはありません。


300mmという望遠ズームとしては短く、設計陣が頑張った証だと思います。
今でもスムーズなワンタッチズームの感触はタムロンならでは。

レンズテストをしてみると、開放のボケは私好みのもので、中古レンズでも
ひそかな人気があるのも分かる気がしました。


当時のタムロンレンズに共通するシンプルなデザインも、
今でも古さを感じさせずお気に入りポイントです。




当方は一切修理は請け負っておりません。

ジャンク品は健康に良くありません。
良品を買いましょう〜



 

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