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マクロレンズ
Macro Lens
レンズ構成 9群10枚
フィルター径 52mm
大きさ(径×全長) 67mm×59.5mm
最短撮影距離:0.19m
重量 320g
発売当時の価格 :\33,000円(AF・MF Nikon用)
Prologue
ある中古カメラ屋さんのジャンクコーナーで見付けたレンズが、
SIGMA
AF 50mm MACRO ZENモデルでした。
ZENモデル特有の鏡胴のゴムのベタつきが出ている上に、
レンズにはびっしりとカビが繁殖しているのに\3,000-とジャンク品としては
高めの価格となっていましたので購入は見送りました。
SIGMAの単焦点でしかもマクロレンズということが気になってしまい、
次にそのお店に行った時にあったら買うつもりでいました。
その後に店を訪れた時に探したものの、すでに売れた後でした。
状態の割りに高い値段設定でしたので売れないと思っていたのですが、
買う人がいるという事は写りが良いレンズかもしれないと思いました。
調べてみると発売当時のレンズ専業メーカー唯一の50mmで、
しかもフローティング機構を用いたマクロというこだわりのレンズで、
CAPAのテストでSIGMA90mmマクロよりボケ味が良く描写性能も優れており、
歪曲も完璧に補正されていると高く評価されていました。
それまで気にもしていなかった事もあり、中古カメラ店で見た記憶がありません。
ベタつきがでないZENの前モデルに限定して探しました。
その後しばらく探して都内のカメラ屋さんで\4,000-にて購入しました。
光学系には問題ありませんが、AFに難ありですがMFでは問題なしという状態で、
マクロレンズはMFで使うとしか考えていなかったので気にもせずに入手しました。
このレンズを実際に使ってみると等倍撮影も可能で、屋外で花を撮っている時に
風で揺れてもAF-Cにしておくと楽に撮影できる事が分かりました。
AFに難あり品なので時々ジャミングを起こしてしまうのです。
MFに切換れば直るのですが、AFでも撮影出来るように修理することにしました。
Repair
マウントを外すとAF接点もそのまま外れます。
絞り環(画像 中央)はそのまま抜くだけです。
クリック用のボールとバネは紛失しないように注意が必要です。
AF駆動ギアはまだ見えてきません。
鏡胴側のAF接点を外します。
AFの接点を外したら、金メッキされたコンタクトピンとバネが・・・
バラバラになりました。
マウント基台を外すとギアが見えてきました。
真鍮製のギアが美しいです。
カメラからのAF駆動力は画像の上中央のギアに伝わり、その左のギアを回し
距離環のギアに伝わる仕組みになっています。
この部分の位置ズレがジャミングの原因となっていました。
AF駆動を伝達するギアと距離環のギアの噛み合いが浅く、
ある位置になると外れてしまうの事が原因でした。
噛み合いを調整して修理完了です。
バラバラになったAF接点を組立てます。
このままマウント基台が取付可能でした。
マウントを取り付けて修理完了です。
Lens
Test
Nikon D200+SIGMA MACRO 50mm+KENKO TELEPLUS MC7 N-AFD 1/500 F:5
撮影していたらお仕事中の蜂と遭遇しました。
中央部拡大[ピクセル等倍]
Nikon D200+SIGMA MACRO 50mm+KENKO TELEPLUS MC7
N-AFD 1/500 F:5
目にピントがきていませんがご勘弁を。
Nikon D200+SIGMA MACRO 50mm+KENKO TELEPLUS MC7
N-AFD 1/80 F:5
Nikon D70+SIGMA 50mm 1/100 F:2.8
Hood
入手時にフードは付属していませんでした。
鏡胴にはフード用のバヨネットがあり、手持ちのSIGMA28-70mm
F3.5-4.5の
フードを付けたところ、ちょうど良い感じでした。
28mm用なのでちょっと役不足と思うかもしれませんが、
SIGMA28-70mm F3.5-4.5同様にズームフードになるのです。
マクロ撮影時にフードが邪魔にならないようになっています。
もちろん携行時には逆付収納が可能です。
※現行モデルはバヨネットから「ねじ込式」に変更されています。
F's
Impression
コンパクトなマクロレンズですが、「等倍」撮影が出来る優れもので、
極初期のAFレンズならではのコストが掛かった作りが印象的です。
黒い鏡筒先端には前面から見えるように金色リングがあるのですが、
高級なレンズではありませんが上品な感じを演出しています。
Nikon D70+SIGMA 50mm 1/125 F:5.6
小型で携帯性に優れ、使えばマクロレンズらしい解像力を持っており、
50mmの標準レンズとして日常からマクロそして風景までもこなせるのです。
MFレンズとAFレンズが同時に存在していたAF過渡期にあるモデルですから、
この時期のSIGMAはMFとAFは共通ボディとなっています。
MFはAF駆動系が省かれているだけです。(Nikon用は価格も同じ)
当然AFレンズでもMFレンズと同じ距離環となっていますので、
その回転角は100度近くあります。
ですからAFレンズでありながらMFでの操作性はとても優秀です。
しかしAFとしては回転角が大きいので合焦速度は遅くなりますので、
超音波モーター+IF方式のレンズしか知らない人には驚きの遅さかと思います。
最近のAFレンズは距離環の回転角が小さいため、MFでのピント合わせは
とても難しいので、このレンズは強い味方になってくれます。
さらに現在のAFレンズでは合焦速度を上げるために、鏡胴と鏡筒はフリクションが
少ない(悪い意味ではガタが多い)構造となっていますが、このモデルは予想以上に
しっかりとしたものでした。
解像力が高くボケ味も良いので、発売当時も今もとてもコストパフォーマンスは良く、
マクロ撮影する時にAFカメラであっても、シビアなピント合わせをMFでする人には
1本は持っているといろいろと楽しめるレンズだと思います。
当方は一切修理は請け負っておりません。
ジャンク品は健康に良くありません。
良品を買いましょう〜
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