Asahi Pentax SP

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Prologue

会社で整理処分するものとして置かれていました。
産業廃棄物になるところをもらってきた訳です。
仕事でフィルムカメラを使わなくなり、もう何年経ったでしょうか。

デジタルカメラでないと仕事に差し支えるようになっては、
フィルムカメラは無用の長物になったのでしょうか。

いいえ、それは違います。
私にとっては大好きなカメラですから。

研究部署の所有品だった為、使用頻度も少なかったのか程度は
良い方だと思います。

発売当時は高性能に低価格で売れた人気のカメラですが、
販売台数も多いせいか中古カメラ屋でも安く売られていました。
最近ではショーケースで見掛ける事も少なくなりました。

実は記憶にあるこのカメラの印象は良いものではありませんでした。
それは中学のクラブの顧問の先生のカメラを触った時に、
ファインダーを覗くとF2Aに比べて驚くほど暗く、
すごく古いカメラと感じた事にあります。


SPの汚れを落として磨き上げると、クロームのボディが輝き出しました。
デザインも良くて「良いじゃない」と呟いていました。

巻き上げの感触も良く、小刻みの巻き上げにも対応しています。
シャッターボタンを押すと心地良い音が響きます。

レンズはSuper-Takumar 1:1.4/50
ファインダーを覗くと思ったていたより「暗くはありません」でした。
しかし、全て黄色味かがって見えてしまいます。

ネットで調べたところ原因はレンズにあり、
放射性元素を硝材にドーピングして屈折率を上げたタイプと判明しました。
その為に写りは評判が良いそうです。

Repair
問題点も無いわけではありません。
電池室の蓋が固着している事です。

蓋はナメかかった形跡があるので無理は禁物です。

そこで安全策としてカメラの底板を取り外し、電池交換を試みます。
ところが底板を外すと、電池室は底板と一体になって外れてきました。

電池交換するには電池室の蓋を外す以外に方法がありません。
ナメないように気を遣いつつ力技で蓋を外しました。

取り出した電池は運良く液漏れもありませんでした。
電池の形式はH-Bというタイプです。


電池の接点には腐食もなく良好な状態です。
電池室と蓋のネジ溝の固着物を丹念に清掃し、
蓋の開閉がスムーズになるようにしました。

H-B電池については同形状の代替品はなく、
小さいボタン電池+アダプタという事になってしまいます。

調べたところ
(有)長谷川工作所
SP用アダプターが発売されていました。

LR41用のアダプターです。
SP用電池アダプター 300円

直接SP用電池アダプターを(有)長谷川工作所に買いに行きました。
下町情緒溢れる懐かしい店内で先客に修理品を渡していましたが、
その丁寧な応対はとても印象的でした。

左:H-B電池  右:LR-41+SP用電池アダプター


左:H-B電池  右:LR-41+SP用電池アダプター

電池を入れて露出計の動作確認したところ、露出計も動作してひと安心です。

SPのスタイリッシュなコンパクトボディに露出計が入っているのですから、
爆発的に売れたのも納得です。

露出計のSWを入れる事で絞り込み測光を行います。
シャッターレリーズすると絞りと露出計のSWが戻る構造になっています。

PENTAX SPOTMATIC がすっかり気に入ってしまいました。


Repair
梅の花が見頃を迎えた頃、SPを携えて撮影をしていました。
撮影中に露出計が動かなくなってしまいました。

ユーザーが多いだけにSPのリペアマニュアルやHPが数多くネットに
アップされています。
分解修理もやり易い優れた構造になっている事が分かりました。

露出計は最初動作していた事から、不具合の原因は電気的なコンタクトと睨み、
接点やSWを中心に見ていく事にします。


軍艦部(トップカバー)を外すと、コンパクトにまとめられた電気系が現れます。
実に良く考えられた構造になっています。


シャッターダイヤルとフィルム感度の設定ダイヤルの下に、
円盤状のポテンションメーターがあり、
ブラシ接点で接触して抵抗値を測定しています。
ブラシとポテンションメーターを清掃します。


次に露出計のSWまで分解します。


人工皮革を剥がし、マウントと一体になっているエプロン部分を取り外します。


露出計の電源SWの接点を清掃します。
SWの動きが少し重かったので、可動部に注油します。
スムーズに動く事を確認して完了とします。

組み上げてセルフタイマーのレバーを取り付け、
動作確認するとラッチが効きません・・・

再度分解してセルフタイマーを調べたところ、
ラッチのバネが外れていました。
バネをはめようとしましたが、そのままの状態では不可能でした。


セルフタイマーのモジュールを取り外します。
そうすると横からアプローチ出来るので、
外れたバネをはめることが出来ました。

その後、再度組み上げて露出計の動作確認をしました。
無事に露出計も動作して修理完了となりました。

 

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