[2007.7.14]

Asahi Pentax ESII 

 

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Prologue

SPの次に購入したPENTAX ESも実に良くまとまっています。

完璧なまでにコンパクトにまとめられたボディのSP。
SPのメカニカル部分はほぼそのままに、
世界初の絞り優先AEを採用した、ELECTRO SPOTMATIC。

そんなESをGICO氏とNOBU氏に見せた際に、
セルフタイマーがあるべき部分にある電池室を見て、
「何これ?」
「それは電池室」
「電池室・・・」

まぁ確かに納得がいかないかもしれません。
SPを分解してみると「あそこに電池を入れるしかない」
と納得できまるとは思いますが。

旭光学の技術者も「セルフタイマーを戻さなくては・・・」
きっとそう思っていたに違いありません。

ESを手にした日から、次はESIIを入手しようと考えていました。

それから暫くたってカメラ屋さんを巡回している時に、
現状渡しの保証無のESIIを見付けました。

現状渡しの理由は、ミラーアップのままでミラーが復帰しない為です。

指でミラーを戻して確認するとプリズムは「極上品」です。
バッテリーチェックをするとメーターも「動作」します。
メカニカルシャッターをチェックするとちゃんと「変化」します。

ES、ESIIは電子系の故障だと面倒ですが、
機械系はSPそのものなので修理出来ると見込んで購入しました。

たとえ直らなくてもミラーやプリズムは程度が良いので、
ESへ載せ替えも出来ますからね。


家でクリーニングしながらボディを細かくチェックをしていきます。
外観は錆やアタリはないものの、エプロン部分に塗装の剥がれがあり、
シャッターボタン側の軍艦部の角にストラップによるスレがあります。

美品とは言えませので実用良品レベルと言ったところでしょうか。、
純正ボディキャップは購入時に付属していなかったので、
ヨドバシに寄って定価\500を\420にて購入したものです。


左:ESII
右:ES
セルフタイマーのレバーがちゃんとあるべき処にあります。
ただし、SPとは多少異なっています。
SPのセルフタイマーとはリリースボタンの形式が異なり、
SPはボタン方式からESIIではレバー方式になっています。



左:ESII
右:ES
ESIIの電池室は何処か?


予想も出来ないエプロン下部に移動しています。
ボタン電池4個並べて平置きです。

SPのエプロンを下に延ばして電池室を作り出しているのです。
これには拍手喝采!
なによりスマートに仕上がっています。


左:ESII
右:ES
軍艦部はほぼ同一ですが、変更されている部分もあります。


ESIIのシャッターボタンにはシャッターロックが追加されています。
シャッターダイアルにはAUTOにアイピースシャッターモードが追加されています。

アイピースシャッターに最初は気付かず、
突然暗くなってしまいアセってしまいました。



Troubleshoot

SPのリペアマニュアルでミラー駆動部分を調べてみますと、
ボディ中央のミラーハウジングモジュールと
底部のシャッター連動ギアモジュールから成り立っています。

はじめに症状から不具合箇所を絞り込みます。

ミラーアップしたままで、シャッターは普通に切れるという症状から、
シャッター系には問題はなさそうです。

ミラーを指で正位置に押し下げてもミラーアップしてしまう事から、
ミラーハウジング内のバネや可動部に固着はなさそうです。

よってミラー正位置に戻せないような何かに引っ掛かっている事が
原因と推測できます。

SPのリペアマニュアルでミラーの機構を調べると、
ハウジング単独にした場合は、ミラーは45°の正常位置になっているようです。

ミラー側のリンクとミラー駆動用のレバーはバネで接続され、
ミラーハウジングからミラー動作のアクチュエーターレバー飛び出ており、
飛び出た部分がシャッター軸と連動するようになっています。

シャッターが動かないのであればリンクしているミラーも動きません。
しかし、シャッターは正常に動作していますので、
原因は底部の連動ギアモジュールのどこかにありそうです。


Repair Pentax ESII

連動ギアモジュールを見る為に、分解を始めます。
底蓋は両端のネジと三脚ネジ穴の両脇のネジで固定されています。


底蓋を外すと基板が現れます。
巻き戻しボタンにある樹脂製の白いワッシャーを外します。
基板を固定している 3本のネジを外します。
右のソケットを手で押さえて、基板を左へ抜き取ります。



基板の背面に絶縁シートがあります。
底蓋にも絶縁シートが貼り付けられています。
そこには、「51.11.1」に検査した「田中」さんの印があります。
1976年製ですので、登場してから3年後のカメラという事が分かりました。



シャッター軸と連動ギアモジュールが現れます。
予想していた通りそれはSPとほぼ同じものでした。

修理後の正常なシャッター軸〜ミラープレートまでの動きです。

ミラーアップしたままの故障状態の説明です。
シャッターをチャージした状態です。

上の円は、ミラー動作のアクチュエーターレバーがチャージされ、
ロックレバーによって固定されています。
下の円は、ロックレバーを動かす後膜連動ギアとピンです。

シャッターを押した状態です。

上の赤丸がミラーアップトラブルの原因です。
アクチュエーターレバーがロックレバーに引っ掛かっており、
ミラーアップのまま動けない状態です。

この状態では、ミラーを指で動かして正位置に復帰させても、
ミラーハウジング内のリンクとアクチュエーターレバーのバネが
伸びてミラーが動くだけです。

アクチュエーターレバーがミラ−アップの位置にあるので、
指を離せばミラーアップの位置まで戻ってしまいます。

引っ掛かっているロックレバーを解除するとミラーは正位置に復帰します。
トラブルの原因はロックレバーの動作不良によるものと判明しました。

下の赤丸の部分に原因があります。
後膜のギアについているピンとロックレバーが引っ掛かって、
ピンがレバーを持ち上げきれていません。
その為にロックレバーが中途半端な位置で止まってしまうのです。

赤丸のピンとロックレバーの接触部分に希釈油を注油をし、
巻上げ→シャッターを繰り返し動作させます。

最初の注油だけで引っ掛かりが無くなり、
ピンがロックレバーを動かしてミラーは正常に復帰するようになりました。

ミラーが正常に復帰した状態です。

上の赤丸はミラーアクチュエーターレバーが戻った状態です。
下の赤丸のギアにあるピンによってロックレバーは解除されています。

Complete Pentax ESII

修理が完了して、ミラーが正常に動作するようになりました。
部品取りの危機から現役復帰した「ESII」です。


修理等は請け負っておりません。

ジャンク品は健康に良くありません。
買い過ぎに注意しましょう〜

 

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