[2007.8.16]

revised [2007.9.23]

NIKKOR-H AUTO 1:2 f=50mm

 

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  レンズの分解清掃

Normal (Standard)Lens


NIKKOR-H AUTO 50mm F2.0 [Jan/1964 - Feb/1967]
当時の価格14,500円
画角 46度
最小絞り  16
最短撮影距離目盛り 0.6m
フィルター径 52mm (P=0.75)
大きさ(全長×最大径) 61.3×37.4mm
重量 200g

飯田 鉄氏の評価では、
Nikkor-S Auto 50mm F1.4の明るさが必要な場合以外は、
Nikkor-H Auto 50mm F2の方が優秀ではないかと思ったそうです。
その理由としてはF1.4の開放付近ではハロが多い為です。

このNikkor-H Auto 50mm F2は、SLR用の50mm/F2の2代目で、
光学的にも新設計となったものです。

初代は1959年にFと同時発売されたモデルですが、
光学性能があまり良くなかった為にニコンの技術陣も、
少なからず不満を持っていたレンズの一つだったそうです。

1962年になって50mm F1.4が発売されていますが、
このモデルはF1.4に比べレンズ構成も少なく重量も2/3と軽量です。

Nikkorの古いレンズであっても、このNikkor-H Auto 50mm F2の
描写はかなり好きです。
興味がある方は、レンズテストを参照して下さい。




[Aug 2007]
オークションにて入手。
Nikomat FTNに付属していました。

外観にはアタリもスレもない状態です。
絞り環に凹凸がない5cm表記のレンズと同じ初期タイプのレンズです。

ボディからレンズを外してみると、
カメラのミラーボックスとレンズ後端にカビが・・・

カメラもレンズも光学系は大丈夫でしたが、
そのままでは間違いなく光学系が侵されます。


レンズの光学系は綺麗なのですが、
絞り環や鏡胴の隙間には汚れが堆積しています。

ヘリコイドのグリースは痩せてスカスカ〜カサカサになって、
少しガタが感じられます。
絞り系には問題はありません。

クリーニングをして「本当」の美品にしてみようと思います。



[1]
背面側にカビがありますので、マウント側から分解していきます。
このレンズは5cmと同じタイプですのでマウント面にネジがありません。

後部の鏡筒をマウントに固定している3本のネジを外します。

[2]
ネジを外して鏡筒を抜き取ります。

レンズの内部が見えるようなります。

[3]
後群レンズの鏡筒の全体が現れます。

カビが全周にこびり付いています。
この状態でレンズが綺麗のが不思議です。
売る前にレンズだけクリーニングしたのかなぁ。

[4]
絞り環を外す前に、連動爪を外しておきます。
爪はただ絞り環に付いているだけです。


[5]
絞り環を外します。
連動爪の反対側にあるネジを外します。

ネジを外して、絞り環を抜こうとしても抜けません・・・


[6]
絞り環を回すとグルグル回ります、回すと指標との距離が広がります。

なんという事でしょう! 絞り環がリングナットになっていました。

[7]
絞り環の感触が、なんとも「まったり」したものでしたが、
その理由がこんな手の込んだ作りにあったとは驚きです。


上の画像にある長穴は絞り環と絞りを繋ぐ[5]のネジが通ります。

[8]
中部は長年の汚れが溜まっていました。

日本人が使っていたものですのですから、普通はこんなもんです。
これが米国人が使っていたものとなると・・・超絶なものになるんですけど。


[9]
ようやくマウントを外すネジが表れます。

5本のネジを外します。

[10]
うやくマウントを外す事が出来ました。

実に手の込んだマンウントの組付方です。
完全に手作業の世界だと思います。

[11]
汚れを落とします。
ブラシや掃除木を駆使し、隅々までクリーニングします。

[8]の部分が、ここまで綺麗になります。

[12]
ヘリコイドをチェックします。

本来なら距離環を分解して、ヘリコイドを掃除してグリースアップします。

[13]
レンズを繰り出すとヘリコイドがかなり見えてきました。

カサカサ原因は、この部分のグリース切れです。

[14]
このままの状態でグリースアップします。

奥まったヘリコイドにグリースが届くように、
針金の先にグリースを付けて塗りつけます。

[15]
グリースをヘリコイドに塗りつけてから、
ヘリコイドを動かして全体に馴染ませます。

仕上げに綿棒でヘリコイドのグリースをぬぐいます。

[16]
連動爪もクリーニングします。


↓クリーニング後



磨けばピカピカになるもんですね。
こんな部品もよく見れば、手の込んだ作りになっています。

[17]
前玉の鏡胴の色も「くすんで」いますので、ここも磨きを掛けます。


↓クリーニング後



[18]
マウント固定用のネジをアルコールで洗浄します。
小さい事からコツコツと・・・ね。


↓クリーニング後

[19]
マウントを組み付けます。


[20]

絞り環のネジにグリースを塗り込みます。

絞り環を組み付け馴染ませてから、再度取り外して綿棒でグリースを拭き取ります。

[21]
絞り環を固定します。


ここのネジもアルコールで洗浄してあります。

先端にネジ山が無いのが特徴です。
その部分が内部の絞り機構に嵌る構造です。

[22]
ネジを締めて組立完了です。

本当はネジの頭を黒く塗れば完璧なんですけどね。


ここまでの作業時間は、丁寧にやりましたので2時間掛かっています。
後部鏡筒のカビも取って、ヘリコイドもスムーズになりガタも直りました。
外観の仕上げも済みましたので、これでやっと美品と呼べるレベルになりました。

[Lens Hood]
習性でレンズフードが欲しくなります。
中古カメラを探索して入手しました。

スレあり傷ありで、凹みはありませんが、程度は年式相応の実用品レベルです。
ちゃんとレンズに合わせて50mm/F2用で、「Fマーク」付きです。


やっぱり同時期のレンズとフードは良く似合います。


同じFマークのF Ftnに取り付けてみました。
こちらもしっくりきますねぇ。

当方は一切修理は請け負っておりません。

ジャンク品は健康に良くありません。
良品を買いましょう〜

 

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