Trouble
ジャンク好きのジャンキーGICO氏からの戴きモノです。
彼が所有している何台もあるMD-3の1台です。
MD-3をMD-2と比較するのが目的です。
ギアは真鍮製に交換済みですが、
シャッターレリーズボタンを押すと「ジーーー」と音がするでけです。
ギア以外のトラブルが起きている「立派なジャンク品」です。
トラブルの原因探査です。
DC電源からMD-3へ直接12Vを給電します。
↓
シャッターレリーズボタンを押す。
↓
電圧計が急激に下がり電流計が大きく振れます。
どこかでショートしている事が分かりました。
珍しいと思うのですが、電気系のトラブルです。
ショート箇所を特定します。
原因探査の結果から12VがGNDに、直接落ちている予感します。
まず、モータードライブのボディのシェルのGNDを確認したところ、
異常はみられませんでした。
そこでモーターを調べたところモーターハウジングがGNDに落ちています。
モーターハウジングはGNDから浮いていなくてはいけません!
プラスのラインを追っていくと、
シャッターレリーズボタンを押すとモーターハウジングと導通します。
モーターがショートの原因です!
モーターのプラスラインが補修されているのは気付いていましたが、
その部分の補修には問題はありません。
ショートするとしてもコミテータが焼き付いていると厄介ですが、
ハウジングと短絡しているとなるとブラシ系が怪しいと睨み分解。
内部をチェックすると
コミテータ:異常なし
ブラシ:異常なし
予想が外れました。
再度組み直してみますが症状は変わらず・・・
再度分解してルーペで細部を確認しました。
するとプラスのブラシのターミナル部分の半田にヒゲが!
ヒゲをニッパーで落として、ヤスリで整形しました。
組み直して確認すると、ハウジングはGNDから浮いています。
プラスのターミナルのヒゲがハウジングに接触していたのが原因です。
モーターの分解にあたりギアも交換しています。
真鍮製のギアに交換済みでしたが、
M1.6のナベねじで固定するようにしていましたが、
GICO氏が取り付けた際にネジの頭が干渉した為に、
ネジの頭を落としてあり分解不可になっていました。
左:M1.6仕様 今回取り外し品
中:M1.4仕様
右:オリジナルギア
DC電源をMD-3に接続して動作確認すると、
正常に動作します。
続いてF2AにMD-3をつなげて動作確認しました。
単写と連写の両モードともOKです。
最後にMB-1を接続してテストすると、
単写なのにカウンターが0になるまで連写します。
????
電源で電圧を調整して確認したところ、
12Vでは正常動作しますが、 13V以上では異常動作になってしまいます。
MB-2なら問題なかったのですけど。
更なる原因究明は後回しにして、電源電圧を12Vにします。
電池を1本減らせばよいので、
MS-1にダミーの単3電池を1本入れるだけでokです。
それではネタにならないので、
単3×4の電池ケースを利用します。
左:電池ケースに直接端子を取り付けたもの
右:コネクターを一品モノで加工したオリジナル品
どちらもMS-1の端子と互換性があります。
コネクターを一品モノで加工したオリジナル電池ケースのコネクタを、
MB-1に取り付けた状態です。
接続はかなりしっかりしている為、抜くのは大変です。
そこで電池ケースとコネクタの接続線を長めにしてあり、
コネクタは外さずに電池が交換出来るようになっています。
これでMD-3が使えるようになりました。
欠品していたツメを製作します。
左:純正品
右:手作りの削り出しオリジナル品
取付た状態です。
ネジは着色していませんが・・・
MD-2 - Film
Rewinding = MD-3
GICO氏のおかげてMD-3をMD-2と比較出来て面白い事が分かりました。
MD-3がMD-2から巻き戻し機構を省いた廉価版だと思っていましたが、
外観からは分かりませんが、設計思想が全く違うのです。
MD-2の機構を流用していないので、全く別の人が設計したのだと思います。
特に特徴的なのがF2のシャッターを動作させる為の、
連動ピンの動作機構です。
MD-3の連動ピンの機構はアクロバティックな動きをします。
これは一見の価値アリだとおもいます。
正直、良く考えたなぁ〜と関心してしまいます。
そしてMD-3は価格では廉価版という位置付けではありますが、
熱い志を持った設計者が入魂した作品だという結論に達しました。
MD-3は巻戻しがないだけじゃなく、巻上げ速度は遅い事になっています。
しかし、そうでもないのです。
MD-2+MB-1(アルカリ電池×10本)
最高速度は3.5コマ/秒 [ミラーアップをしないで撮った場合]
MD-3+MB-1(アルカリ電池×10本)
最高速度は3.5コマ/秒
データから見ても普通に使う場合に差は出ないのです。
MD-3の便利な点としては、巻戻し機構が無い為にF2の裏蓋開閉キーを
外す必要がない事です。
MD-2は裏蓋開閉キーを外さなくてはいけないので、
フィルムを入れた状態でMD-2を外した場合には感光する危険性があります。
MD-3は当然フィルムを入れた状態でモードラの脱着を可能にしています。
実は巻戻しの際にひとつ楽しめる事があります。
MD-3にはF2の裏蓋開閉キーのノブがはまる溝があり、
MD-3のレバーを回せばF2のノブが回って裏蓋の開閉ができます。
モードラならMD-3よりMD-2!
と思っていたのですが、モードラを常時必要としないユーザーには、
MD-3の方をお奨めします。
今時モードラは使わないでしょう!
そんな声が聞こえてきそうですね。(笑)
GICO氏のお陰でMD-3を見直す事が出来ました。
ありがとう〜 GICO!
関係者以外の方へ
ギアが欲しいと思われても、加工したギアはもうありません。
もちろん修理も請け負いません。
ジャンク品は健康に良くありません。
買い過ぎに注意しましょう〜
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