F's Camera
ジンバル雲台ベアリング化
Gimbal Head Upgrade


[2015.9.13]
revised [
**.**.**]



Link
  F'sトップ 

 F's Cameraトップ

Prologue

2015年夏休み、NEEWER ST-360をまたポチッとしました。
鳥撮りご用達雲台のひとつのジンバル雲台、
超望遠レンズで動く鳥を撮るのに向いており、
レンズとカメラの重心を雲台に合わせる事で、
超望遠レンズの重さを感じることなく撮れるそうです。

以前は特殊な雲台なので高価だったのですが、
数年前から中華ジンバルが出回りはじめ、
最近は部品代並の激安品が登場しました。

中華品だけに、半完成品を仕上げるつもりで、
いろいろ考えながら手を加えていきます。
 
Check


NEEWERのジンバルヘッドST-360ですが、
開封してすぐには使ってはいけません。


見た目に、仕上げの悪さは感じられません。


アームはラバーコートされており、
触った感触も良い感じです。

ST-360 Specification
Main Material: Aluminum alloy
Base diameter: 49mm
Maximum Load: 8kg
Quick release plate: Arca Swiss compatible
Size: 210(H)*70*210mm
Tilt: 360°
Pan:  360°
Weight:  1055g


すべてを分解すると、上の図ような部品構成になっていました。
続いて、各部品をチェックしいいきます。


問題点 1 パンニングノブ
切削粉が大量に付着していまが、これはビトイ。
ノブには成形時のバリがあります。

クリーニングします。


問題点 2 パンニングノブ
先端の処理がされていません。

平面出し研磨加工を行います。


問題点 3 チルトノブ
スラストベアリングが入っていますが、ワッシャーは汎用品でした。
平滑性に問題ありです。

スラストベアリング用のスラストワッシャーに交換します。


問題点 4 スイングアーム カラー
スイングアームにはベアリングではなく、
樹脂カラーが入っています。
アームの軸穴に対して、外形が小さいためガタがあります。

樹脂カラーを作り直します。


問題点 5 クイックリリースノブ
回すと「キーキー」と音がでます。
開口が狭く、プレート脱着が大変です。
水準器は不要なので取り外します。

ノブを分解して、グリースアップします。
ギリギリまで、クランプが開口するように調整します。


問題点 6 パンベース
回転にムラがあります。
パンロックすると、締め付けた分だけ傾きます。

滑りの良い樹脂プレートか、スラストベアリングに交換します。
上部のネジとパンベースの間にベアリングを入れます。
コンパスは不要ですね。

Upgrade


問題点 1 & 2 パンニングノブ
直角を出してながら、平面研磨加工を行い、
ノブの成形時のバリは、カッターナイフで切り取りました。


問題点 3 チルトノブ
(右) 交換部品
スラストベアリングと専用スラストワッシャーに交換しました。


問題点 4 スイングアーム カラー
左側の樹脂カラーを作り交換すると、ガタは減りますし、
動きもスムーズになりました。
ベアリングの方がもっと良さそうです。


ラジアルのニードルベアリングは、軸と穴のクリアランスの関係で、
無加工では使えなかったので、軸の方を加工しました。


ラジアル方向は、ニードルベアリングに変更し、
スラスト方向はフィルムワッシャーから、
滑りの良いPE製に変更しました。


問題点 5 クイックリリースノブ
水準器を取り外すと、調整用のネジが見えます。


ネジを取り外すと、分解出来ます。


可動部分に注油し、ネジロックを塗って開口幅を調整します。


問題点 6 パンベース
ベースプレートとの接触面のフィルムワッシャーから、
PE製ワッシャーに変更すると、少し回転が軽くなりました。


続いてスラストニードルベアリング用にスペーサーと
ダストカバーを作ります。


スラストベアリングとスラストワッシャーに変更したところ、
想定したスムーズな感触が得られました。


アームとベースプレートの固定とフリクション調整を兼ねたネジは、
ワッシャーと摩擦しているだけだったので、
PEワッシャーを入れてみましたが効果なし。


上側もスラストベアリングにすると、
下側のスラストベアリングとの組合せで、
クルクルとストレスフリーに回るのですが、
これでは落ち着きが無さ過ぎます。


上側を深溝玉軸受(ラジアル用)にして、
外輪のみアーム固定のワッシャーに接触させ、
内輪はベースプレートのネジで締め付けると、
掟破りのフリクションコントローラーとなります。

※ラジアル用深溝玉軸受に、完全なスラスト方向の力を
 加える事は破壊的な使い方です。
 〜良い子はマネしないでね。〜

付属の3/8->1/4アダプターは、形状が悪く使えません。


小ネジの三脚に使う場合には、H-SA8を使えば飛び出ません。

F's Review


黄色部分に入れたベアリングとワッシャにより、
スムーズなジンバルヘッドが完成しました。

元々分解することは考えられていないので、
ネジやプレートの固定に瞬間接着剤が使われ、
白化は当たり前、ハミ出て山盛りのでしたので、
中華製は瞬間接着剤の対応も重要です。
https://youtu.be/TZT-Zraj1rU

半完成品から気持ち良く使える完成品へ、
アップグレード完了です。

Nikon D800とSIGMA 50-500mmにクイックプレートに取付け、
前後にスライドさせて、レンズとカメラの前後の重心を合わせ、
クランプの上下で全体の重心をチルト軸を合わせます。

3ウェイ雲台やボール雲台で、重量級の機材に合わせ
フリクションを加えた時の動きとは違う世界です。
重量を感じさせない軽く滑らかな感触なので、
長玉で上下左右に動き回る鳥のような被写体を撮るのが、
体力を使わずに楽に出来ます。

使って納得のジンバル雲台です。

著作権 本ホームページおよび画像の著作権はS_Fに帰属します。
このホームページの一部または全部を許可無く複製、改変、転載することはできません。
Copyright S_F. All Rights Reserved